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ナレッジマネジメントってなに?メリットや導入時の注意点も解説します

「もしドラ」がもてはやされたのも今は昔、経営者だけでなく現場の人間もマネジメント手法を取り入れ、活用するのが当たり前になっています。

そもそもマネジメントとは、直訳すると「経営」の意味もありますが、「管理」の意味も含んでいます。

そこで今回はマネジメント手法の一つ、「ナレッジマネジメント」について解説していきます。

ナレッジマネジメントってそもそも何?

ナレッジマネジメントとは、企業がこれまでに蓄積してきた知識や経験を全社的に共有することで、企業の競争力を高める手法です。

独自の営業ノウハウや顧客情報などを、一部の部署や人間だけでなく皆で共有しようということですね。

狭義的には全社ミーティングや朝礼などもナレッジマネジメントに分類されますが、少々アナログな形と言えます。

最近では蓄積した知識、ノウハウ、情報をデータベース化し、簡単に全社員がアクセスできる環境を整えることがナレッジマネジメントと呼ばれます。

企業や事業の規模が大きくなると全社的に共有することは困難になり、蓄積したデータを活用できずに機会損失に繋がる、業務上の障害の発生などの原因になります。

これをいかに乗り越えるかがナレッジマネジメントを導入するカギとなってきます。

なぜナレッジマネジメントが注目されるのか

実はこのナレッジマネジメントは全くの新しい手法ではなく、もともと日本に根付いていたマネジメント手法の一つです。

上で挙げた通り全社ミーティングや朝礼などがそのいい例で、これらは最近になって登場したわけではありません。

企業の蓄積したデータを共有しようという試み自体は、「報連相」という言葉にも表されるように慣れ親しまれてきたことがわかります。

また、従来の日本企業はトップダウン型と呼ばれる、上層部が方針を決め、それを解決に導く下部組織(部署やプロジェクトチーム)が指示に沿う形で動くため、チームワークを得意とする日本人には相性のいいものでした。

ただ、時代の移り変わりとともにそのような従来の手法は通用しなくなり、ナレッジマネジメントの手法自体をアップデートする必要性が出てきたのです。

その要因として以下の2点が挙げられます。

人材が流動的になっている

年功序列や終身雇用が崩壊した現在では、何度も転職することが珍しくなくなっています。

それだけでなく企業側もより優れた人材の確保のためにリソースを割くようになり、人材が流動的になっているのです。

そういった背景のもとでは個人の持つノウハウや知識が企業に蓄積されなくなり、従来のナレッジマネジメントが通用しなくなり、新しいナレッジマネジメントへの注目が高まっているのです。

ビジネス社会の急速なグローバル化

経済が発達し円熟した社会は内需の減少を引き起こしますが、それは海外への進出へと目を向けることに繋がります。

また、インフラやIT技術の発達もその傾向に拍車をかけることとなり、企業にはスピード性も求められるようになっています。

次第に肥大化していく企業には従来のやり方では情報共有が困難になり、デジタルなナレッジマネジメントが求められるようになりました。

ナレッジマネジメントのメリット

それでは新しいナレッジマネジメントのメリットとはどんなものがあるのでしょうか。

まずは情報伝達スピードの向上とそれによる企業としての競争力の向上が挙げられます。

NASやイントラネットの導入により、全社員が簡単に社内文書や重要事項にアクセスできるようになり、口頭よりも正確に早く伝達できるます。

そのことにより一人当たりの生産性の向上が期待でき、企業としての競争力が高められることでしょう。

また、縦割の組織では他部署のノウハウを得ることは難しいですが、新しいナレッジマネジメントの導入により、思いもしなかった手法に触れたり、イノベーションの創出に繋げられます。

他にも顧客情報の集約で対応力の強化や、業務の効率化も期待できる点がメリットとなっています。

ナレッジマネジメントを導入する手順

それではいざナレッジマネジメントを導入しようと思っても、正しい手順を踏まなければ効果は得られず、無駄な手間だけを増やすこととなってしまいます。

1、課題と目的を明確にする
まずはナレッジマネジメントの導入を決意した課題と目的を明確にする必要があります。

なんとなくコンサル会社に言われるまま導入したはいいけど、社員が使わない、欲しい情報が手に入らないとなっては意味がありません。

情報共有することで何を行いたいのか、それでどういったことが可能になるのかを精査する必要があります。

2、共有する情報を可視化する
当たり前のように感じられるかもしれませんが、共有する情報が可視化されていないと意味がありません。

会議の録音ファイルにアクセスできてもその中から必要な情報を手に入れるには手間がかかり、その会議に出席した人間に話を聞くのが早い、という状態では意味がないのはお分りいただけるかと思います。

会議の内容を共有するのであれば議事録の形にしておくなど、工夫が必要です。

3、実際の業務とリンクさせる
ナレッジマネジメントの導入で解決したい課題や目的を設定し、情報の可視化、整理ができたら実際の業務とリンクさせましょう。

例えば朝礼で各々のスケジュールや進捗状況の報告を行っていたのであれば、それをオンライン上で行えるようにすることで、業務の効率化ができます。

ナレッジマネジメントは仕組みを作って終わりではなく、反応や効果を見ながら運用していくことが最も重要です。

ナレッジマネジメント導入時の注意点

ナレッジマネジメントの導入時にはいくつか注意点があります。

まずは現場主導で進めることが挙げられますが、現場の声を無視して上層部の判断だけで導入しても結局使われない悲劇を引き起こします。

また、適したデバイスでアクセスできるようにしなければ、外回りの多い営業職に共有したいのにスマートフォンでアクセスできなければ利便性は半減しますし、突然全社的に導入するのではなく、徐々に拡大していく方が抵抗なく受け入れてもらえます。

何れにしても実際に使う人の声と反応を見ながら運用していくことが求められます。

まとめ

ナレッジマネジメントとは、企業の蓄積したデータを全社的に共有し競争力を高めていく手法のことで、「報連相」の言葉からわかるようにもともと日本に根付いていた手法です。

ただし、全社ミーティングや朝礼などのアナログな手法では情報共有が困難になってきており、デジタルな手法が求められています。

事業規模にもよりますが、業務の効率化に寄与することが期待できる一方、現場主導で進めなければ新しいシステムは使われず無駄な手間だけが増えたなんてことにもなりかねませんので、注意が必要です。

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