「アカウンタビリティを果たさなければならない」といった使われ方から、アカウンタビリティ=説明責任、といったように理解している人が多いように見受けられます。
それも何か不祥事を起こした時によく使われることで、なんとなくネガティブなイメージがついてしまっているのではないでしょうか。
アカウンタビリティを説明責任と認識するのは間違いではありませんが、それはネガティブな意味だけなく常に意識し果たされるべきものなのです。
アカウンタビリティってそもそも何のこと?
そもそもアカウンタビリティとは、会計上の言葉として企業が株主に経営状況を説明することや、そうする義務を指す言葉として用いられていました。
それが最近では、冒頭でも説明した通り説明責任としての意味を帯びて使われるようになっていますが、本来はもう一つ、結果に対する責任という意味も含んでいます。
つまり、アカウンタビリティとは不祥事を起こした時に事の顛末を説明する義務だけではなく、そもそも自分の役割を全うし求められた結果を出す事で果たされるものなのです。
そのため、ネガティブな意味だけでなく常に意識する必要があります。
また、「アカウンタビリティを果たす」という言い方の他にも、「アカウンタビリティスキル」という使われ方もします。
これはただ説明をするのではなく、相手にきちんと伝わった上で納得してもらうよう論理的に説明する能力を指しています。
管理職にはアカウンタビリティスキルが求められる、といったように名詞として用いられます。
レスポンシビリティとはどう違うの?
似た言葉としてレスポンシビリティがありますが、こちらは実行責任と訳されるように、リーダーの立てたプランに沿ってメンバーが実行することを指しています。
アカウンタビリティはリーダーの、レスポンシビリティはメンバーの責任という認識で使い分けましょう。
アカウンタビリティを果たす為の3つのステップ
アカウンタビリティを果たすには大事な3つのステップが存在しますので、順に見ていきましょう。
1、現状を把握する
まず最初に現状を把握することが必要です。
プロジェクトが成功した時でも失敗した時でも、現状がどのような形であったのかを把握し、さらに予定していた結果と比較したものと、具体的な数値を用いて伝えることが重要です。
この現状把握は次のステップで非常に重要な役割を果たします。
2、要因を説明する
第二のステップは要因を説明することですが、これはつまりなぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを説明することを意味しています。
ここで成功と失敗の要因を説明するには、現状がどのようなものであるかをしっかりと把握しておく必要があることがご理解いただけたと思います。
失敗した時はもちろん次回の成功確率をあげることになりますし、成功した時は再現度を高めることに繋がります。
3、解決策・改善策を示す
最後に解決策、改善策を示しましょう。
現状把握や課題の発見だけでなく、そこから得られたものの共有もアカウンタビリティに含まれています。
最後までどうするのかを提示することが自ら責任を持つことだと言えるでしょう。
アカウンタビリティが求められる事例
ここまでアカウンタビリティの定義と言葉の使われ方などを見てきましたが、ここからは実際にアカウンタビリティが求められる事例について見ていきましょう。
事中利用
例えば、営業職の社員が月の目標件数が達成できない見込みとなった時、管理職に対して現状の報告を行う場合、ただ「達成できない見込みです」と伝えるのではなく、「営業の基本的な型を身につけていませんでした」と原因を伝え、「先輩ともう一度確認します」と解決策を提示することで、管理職は一人一人を管理しやすくなります。
それだけでなく、自ら考え行動することで社員自身のパフォーマンス増加にも繋がります。
営業職だけでなく、人事的な評価や人材育成の面でもアカウンタビリティを意識した利用が見られます。
社員がそれぞれ具体的な目標を設定し、それに対してのアカウンタビリティを果たすことで、上司や管理職は社員の評価や育成の指針とすることができるのです。
事後利用
月の営業目標などの事中だけでなく、事後のことについてもアカウンタビリティは求められます。
企業の財務報告や決算報告がそれに当たりますが、どちらかというとアカウンタビリティといえばこちらを連想する場合が多いでしょう。
そもそもなぜアカウンタビリティが求められるかといえば、企業と顧客や株主、利害関係者との間の信頼を築くためです。
企業にとって都合のいいこと悪いこと関係なく、きちんと説明し行動に責任を持ってもらわなければ、その企業を信頼することは難しいでしょう。
そのため企業はしっかりとアカウンタビリティを果たし、信頼を得るためにも自分の責任を果たす必要があるのです。
まとめ
アカウンタビリティとは、説明責任とも訳されますが、不祥事を起こした際の説明責任だけなく、結果に対しての責任という意味も含んでいるため常に意識し、果たされるべきものです。
ネガティブな場面だけでなく、しっかりと求められた役割を果たし、結果を出す責任こそがアカウンタビリティとして求められるものなのです。
誤用されることも多い言葉ですが、本来の意味を見据え自社の果たすべき責任とは何かを一度考えてみてもいいかもしれません。