自社製品の開発やプロモーションをする際、マーケティングを行う上ではターゲットを決める必要があります。近年では従来のターゲットをより具体化したユーザー像である、ペルソナを設定することが主流となりました。
このペルソナを構成する上で、デモグラフィック(人口統計学的属性)やジオグラフィック(地理学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)の要素を考慮します。
しかしなぜ最近になって、サイコグラフィック(心理学的)属性に注目が集まっているのでしょうか? この理由と、他の要素との違いについても1つずつ解説します。
サイコグラフィック(心理学的)属性とは?
サイコグラフィック(Psychographics)は心理学的属性と呼ばれています。
顧客の心理的な背景によるものから構成されており、地理的な、統計学的な特徴ではなく、ユーザー本人の主観に注目しています。
例えば、
・健康維持のためにジムに通いたい
・いつまでも若くいたいためにエステへ通いたい
・少しでも細く見える洋服が欲しい
上記はどこに住んでいようがどんな家庭環境であろうが、それぞれが持つ心理です。
消費者のニーズとは顧客が本当に求めているものを提供することなので、近年のようにモノやサービスがありふれた中、「顧客が何を考え、どのような経緯を経て商品の購入に至ったのか?」を正しく把握することがマーケティングを行う上で重要です。
そのため、このサイコグラフィック(心理学的)属性を集計したデータを分析することでより消費者に近い視点で商品を開発することができるようになります。顧客の心理的状況でグループ分けを行うことで、従来までの年齢や性別によるライフスタイルの違い等で分けていたデモグラフィックデータよりも細かくグループ分けが可能となります。
デモグラフィックとの違い
従来までメインで使われていた、デモグラフィックについて解説していきます。
デモグラフィック(Demographics)は、人口統計学的属性のことを言います。具体的には、調査する人物の性別・年齢・家族構成・バックグラウンド・所得などの要素が挙げられます。
これらの情報さえあればある程度のニーズに応えることができました。しかしあくまで統計的な特徴しか把握ができていなかったこともあり、消費者の性格や心理を全く予測できませんでした。
例えば商品をとにかく早く使いたい人、誰かが商品を使ってよければ使いたい人の購買行動はスピード感も購入までの思考や行動プロセスも異なります。
もちろんデモグラフィックデータの活用によりターゲットを絞り込むことは可能ですが、さらなる細分化が必要な場合(幅広い顧客層がいる商品の場合等)には限界がありました。
そのため、サイコグラフィック(心理学的)属性データの活用により、ユーザーの行動心理をターゲットに定めることでより時代にあったマーケティングを行うことができるようになったのです。
サイコグラフィック(心理学的)属性のデータ収集方法
では実際にデータの収集方法について考えてみましょう。
サイコグラフィック(心理学的)属性のデータは、ユーザーから直接ヒアリングすることが推奨されています。お客様と接触できる方法としては、お客様アンケート、インタビュー、お客様窓口や口コミ投稿などの方法でユーザーと接触することが好ましいでしょう。この距離が近ければ近いほどサイコグラフィック(心理学的)属性のデータの精度は高まります。
その他にもWebの分析機能を利用する、SNS上でアンケートをとってみるなど様々な方法があります。外部の分析サービスを利用して詳細データを取得することも可能です。
このような方法でデータ収集をすることでユーザーの行動が把握できるようになります。
サイコグラフィック(心理学的)属性の活用方法
それでは実際、サイコグラフィック(心理学的)属性のデータを集めた後、どのように活用したら効果的なのかを解説していきます。
サイコグラフィック(心理学的)属性は顧客心理がわかる便利な分析方法であるように感じますが、単体で使用してもあまり効果的ではありません。実際には、デモグラフィックデータやジオグラフィックデータを同時に使用することで精度があがるとされています。
商品やサービスを開発する際、ここがしっかりと決まっていないと特徴のわかりにくい商品を構想しがちです。より深くターゲットを絞り込んで戦略を練らなければ、せっかく開発した商品も思うように売れないという事態になりかねません。
ここでは主に商品開発の段階のペルソナ設定の構成要素として、サイコグラフィック(心理学的)属性を挙げて説明しましたが、実際のマーケティングでは、価格設定・プロモーション・販売場所などの全ての段階でサイコグラフィック(心理学的)属性が活用されています。
まとめ
サイコグラフィック(心理学的)属性は、誰もが持っている身近なユーザーの心理ですよね。
身近な友人が同じ商品を欲しがることが多いように、心理学的に同じグループであるユーザーの行動は共通しています。
これらのデータを取得することで、あなたの商品がもっとユーザーに近いものになり、ユーザーの受け入れられればリピート購入への期待、ブランド構築も可能となってきます。