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カニバリゼーションってなに?大きなデメリットと回避する方法を解説

マーケティング用語で使われているカニバリゼーションの意味をご存知でしょうか。
これは実際に身近で使われているマーケティング戦略なのですが、消費者としてこの戦略に気づくことはあまり多くはないかもしれません。
一般的にはデメリットが目立つカニバリゼーションですが、使い方次第ではメリットにもなる面白い戦略なのです。詳細を見ていきましょう。

カニバリゼーションってなに?

カニバリゼーションとは、直訳すると共食いという意味です。マーケティングの世界では、市場で自社ブランド同士が競合することによってシェアを奪いあっている状況のことを表します。
シェアの拡大を狙って特定の地域に複数の店舗を展開しても、ターゲットとなるペルソナが重複していると、それは一定の顧客が店舗間や自社ブランドを移動しているだけにすぎず自社同士で競合が起こっています。これは結果的に自社のシェアの縮小を招いてしまう危険性もあります

最近では、このカニバリゼーションの現象がWEBマーケティングの世界でも起こっています。記事を書く際にはキーワードの選定とコンテンツを予め設計する必要がありますが、そこで似たような内容や重複したキーワードを多く使用することで、重複したコンテンツとみなされ、SEO(検索エンジン最適化)の表示順位に影響することがあります。
この場合、自分のWEBサイトの中の記事同士が競合してしまってどちらも上位表示されない悪い影響が出てくることがあります。

カニバリゼーションの反対語は「シナジー」

カニバリゼーションの反対語として使われるシナジーは、複数の自社ブランドを持つ、他社と共同開発するなど一つになることで得られる相乗効果が目的です。

企業の効率的経営をするためにはシナジーを目指すべきですが、カニバリゼーションをあえて起こしてコスト削減や物流の効率化をすることで相乗効果を得られるケースもあります。カニバリゼーションと共通した概念も持つために必ずしも相反しているとも言えない場合があります。

ドミナント戦略とカニバリゼーションの関係性

ドミナント戦略とは限られた人数や資本で特定の地域内に集中して店舗を出店し、その地域を集中的に攻めることでシェアの拡大を狙う戦略です。ドミナント戦略を採用すると、カニバリゼーションが起こりやすいのですが、カニバリゼーションの利点である、他社との差別化や売れ筋商品の充実など、正しい戦略を採ることができれば他社へシェアを奪われることなく自社のシェアを維持することができます

カニバリゼーションがもたらす2つのデメリット

ここまで読んで、なんとなくマイナスなイメージを持っているかもしれませんが、実際の企業経営上でデメリット2つについても解説していきます。
経営資源の浪費をしてしまう
本来ならば規模の経済性を利用することでコストの削減を目指していくことが理想とされていますが、カニバリゼーションに集中するあまり差別化がされていない類似製品を増やしてしまったり、ターゲットが重複することで結果的に自社同士で顧客を奪い合うことも考えられます。
例えばコンビニの場合、店舗同士が限られたシェアを競い合うことで安売り合戦が行われたり、仕入配送を各店舗で行っている場合等コストが余計にかかってしまい効果的とは言えません。
競合他社のシェアが拡大する
自社でシェアの拡大を狙っている時に、より消費者のニーズにあった経営資源を有効活用して適正価格での販売を行う競合他社が現れた場合、自社のシェアを奪われる場合があります。自社の優位性を保つことも同時に課題と言えるでしょう。

カニバリゼーションを回避する方法

カニバリゼーションを避けるためにはどのような方法を採るべきなのでしょうか。ここではカニバリゼーションを起こしたくない場合にどういった点に注意をすればよいのかを解説していきます。

市場のターゲットを正確に定義する

カニバリゼーションが起きてしまう大きな要因として、ターゲット(ペルソナ)がしっかり設定されていないことが挙げられます。ターゲットが異なるペルソナ像を定義していればカニバリゼーションが起こらず自社のシェアの拡大に期待ができます。

定期的に組織編制を見直す

自社組織に問題があったり、情報の共有がされていない場合に知らず知らずのうちに自社同士で市場のターゲットが重複してしまう場合があります。特に日本特有のカンパニー制を導入している企業は、横のつながりが十分ではなくこれらの問題が特に発生しやすい傾向にあります。

それぞれがよいペルソナを設定し商品を開発しても、組織間の連携が悪いと同じ市場でシェアを奪い合うことになってしまいますので、定期的に組織編成を見直し、情報の共有を積極的に行うなど工夫が必要です。

まとめ

カニバリゼーションを起こさないためにも入念なペルソナ設定と商品企画、市場分析が重要となってきます。せっかく自社が育てた市場を自社商品と競って奪われることや、自社商品が競っているうちによりすぐれた他社商品にシェアを奪われてしまわないよう、常に顧客のニーズと価格の最適化を目指していくことが重要です。
そうはいっても、カニバリゼーションを意図的に起こすことでシェアを拡大するという戦略もあるので、状況によって使い分けることができるマーケティング戦略なのです。

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