法人

法人事業税は企業の儲けにかかる地方税

企業に課せられる税金は、こまかく分けると10種類以上あるのですが、その中で最も大きなウェイトを占めるのが法人税です。その法人税に、法人住民税と法人事業税を加えて3つを「法人3税」といいます。

ここでは法人事業税について解説していきます。

 

法人事業税の特徴

法人事業税の特徴は、「法人3税の1つ」のほかに、次のようなものがあります。

  • 所得にかかる税
  • 地方税
  • 一部が地方法人特別税として分離した

 

それぞれ見ていきましょう。

 

所得にかかる税です

法人事業税は、企業の所得が大きくなればなるほど高額になる税金ですので、「所得にかかる税」です。

所得にかかる税といえば法人税がメーンなのですが、所得には法人事業税も課せられるのです。

この2つには、

  • 法人税は国税
  • 法人事業税は地方税

という違いがあります。

 

つまり税金の法律は企業に対し「儲けが出たら国と地方にそれぞれ税金を納めなさい」と言っているわけです。

 

地方税です

法人事業税は地方税ですが、市町村には回りません。都道府県が法人事業税の全額を受け取ります。

 

一部が地方法人特別税として分離しました

2008年に法人事業税の一部が、地方法人特別税に分離しました。地方法人特別税は、「地方」と付いていますが国税です。

都道府県に支払っていた法人事業税の額を減らして、減らした分をそのまま国に地方法人特別税として支払うようになったのです。

ですので、企業の規模と所得が同じだった場合、2008年より前に支払っていた「法人事業税」と、2008年以降の「法人事業税+地方法人特別税」の額は変わりません。

 

なぜこのような措置を行ったかというと、従来の方式では、大企業を多く抱える都道府県と大企業が少ない都道府県の間の税収格差が大きくなってしまったからです。

そこで法人事業税の一部を地方法人特別税として国が集め、都道府県に再配分することにしたのです。

 

よって、大企業を多く抱える都道府県では税収が下がり、大企業をあまり抱えていない都道府県では税収が上がったのです。

地方法人特別税については、後でさらに詳しく解説します。

 

法人事業税の計算【資本金1億円以下】

それでは、法人事業税の額の算出方法を見ていきましょう。

計算方法は、資本金が1億円を超えるか超えないかで異なります。まずは資本金1億円以下の企業の法人事業税の計算方法を見ていきます。

 

以下の表はとても重要なので、解説を読み進めながら何度も見返してください。

標準税率 超過税率
軽減税率適用法人 所得の400万円以下の分 3.4% 3.65%
所得の400万円超~

800万円以下の分

5.1% 5.465%
所得の800万円超の分 6.7% 7.18%
軽減税率不適用法人 6.7% 7.18%

 

軽減税率とは、規模の小さい企業が、法人事業税を安くしてもらえる仕組みです。

  • 3つ以上の都道府県にわたって事務所を設けていない
  • 資本金が1,000万円以下

の2条件にあてはまる企業は、軽減税率を適用してもらえます。

 

超過税率とは、規模の大きな企業に、法人事業税を多く支払ってもらう仕組みです。

  • 資本金1億円超
  • 資本金1億円以下かつ所得2,500万円超

のいずれかに該当する企業は、超過税率で法人事業税が計算されます。

 

この部分も直感的には理解しにくいと思いますので解説します。

所得の400万円以下の分
所得の400万円超~

800万円以下の分

所得の800万円超の分

 

例えば、資本金900万円、所得1,000万円で都内にしか事業所がない企業は、軽減税率適用法人であり、標準税率で計算してもらえます。

その部分だけを、上の表から抜き出すとこうなります。

標準税率
軽減税率適用法人 所得の400万円以下の分 3.4%
所得の400万円超~

800万円以下の分

5.1%
所得の800万円超の分 6.7%

この企業の法人事業税を計算するとき、所得の1,000万円を、次のように分解します。

  • 400万円(所得の400万円以下の分)
  • 400万円(所得の400万円超~800万円以下の分)
  • 200万円(所得の800万円超の分)

 

これに、それぞれの税率をかけて足したものが、法人事業税になります。

400万円×3.4%+400万円×5.1%+200万円×6.7%=474,000円

これがこの企業の法人事業税です。

 

法人事業税の計算【資本金1億円超】

企業の資本金が1億円を超えると、法人事業税の計算方法がさらに難解になります。

それは、

  • 外形標準課税法人
  • 収入割
  • 付加価値割
  • 資本割

といった単語が出てくるからです。

それぞれ詳しく解説します。

 

外形標準課税法人とは

資本金1億円超の企業のことを、外形標準課税法人と呼びます。「外形」とは「社屋の大きさや従業員の数の多さも含め、企業としての姿形(すがたかたち)が大きい」といった意味です。

 

法人事業税は、「行政サービスを受ける代わりに税金を支払ってください」という趣旨の税金です。

もし、所得に税率をかけた金額だけを法人事業税にしてしまうと、赤字になった企業からは法人事業税を取ることができません。

中小企業であれば規模が小さいので、受ける行政サービスも小さくなるため、「赤字なら法人事業税が0円でも仕方がない」となります。

しかし、姿形が大きい大企業にもこれと同じルールを適用し、その大企業が赤字になって法人事業税を支払わなくなったら、「たくさんの行政サービスを受けながら、法人事業税を支払わないのはおかしい」となります。

そこで、姿形が大きい企業、すなわち資本金1億円超の企業に対しては、赤字になっても法人事業税を取ることができるルールをつくったのです。

 

法人事業税の計算式

外形標準課税法人に対する法人事業税は、次のように計算します。

法人事業税の額=所得割+付加価値割+資本割

 

それぞれの意味は次の通りです。

  • 所得割:所得に応じて支払う税金。赤字ならゼロ円
  • 付加価値割:所得に役員報酬や社員給与などを足した金額に応じて支払う税金。赤字でも必ず発生する
  • 資本割:資本金の額に応じて支払う税金。赤字でも必ず発生する

 

ちなみに、資本金1億円以下の「外形標準課税法人ではない企業」の法人事業税は、100%所得割となります。

 

ここで使うのは、以下の表です。

<外形標準課税法人の法人事業税の税率>

所得割 0.88%
付加価値割 1.26%
資本割 0.525%

 

外形標準課税法人の法人事業税の額は、次の計算式で算出します。

・法人事業税=所得×0.88%+付加価値×1.26%+資本金×0.525%

 

資本金2億円であれば、資本割(資本金×0.525%)だけで1,050,000円にもなり、企業はこの金額を赤字でも支払わなければなりません。そして役員報酬や社員給与を高くすればするほど、法人事業税も上がる仕組みになっています。

 

地方法人特別税

地方法人特別税は、「地方」とついていますが、国税です。

国が企業から地方法人特別税を集め、その後で国が地方自治体に配分する税金です。

 

地方法人特別税の額は、

地方法人特別税=法人事業税の額×税率

で算出します。

「法人事業税の額」であって、「法人の所得」ではない点に注意してください。

東京都では税率は、

外形標準課税法人ではない法人:43.2%

外形標準課税法人:414.2%

となっています。

 

まとめ~法人3税さえ押さえれば8合目

法人税、法人住民税、そしてこの法人事業税(+地方法人特別税)さえ押さえておけば、企業の税金はほぼ8合目まで達しました。頂上まであと2合分ありますが、それでも法人3税の知識を応用すればいいので、ここからの勉強はグッと楽になりますよ。

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