個人事業主

【個人事業主の税対策】青色申告は挑戦しがいがある

税務署で個人事業主の手続きをしたときに、税務署職員から「青色申告にしますか、白色申告にしますか」と聞かれたと思います。

そのとき、青色申告をするには「複式簿記」や「決算書」をつくらなければならないと言われて「自分には無理」と感じ、白色申告を選択した方も少なくないでしょう。

 

でも、いまからでも遅くないので、青色申告に切り替えてみてはいかがでしょうか。

 

また、これから個人事業主になろうと考えている人も、ぜひ青色申告に挑戦してみてください。

「白色申告で確定申告に慣れてから、そのうち青色に移行しよう」と考えるなら、初年度から青色申告に挑戦したほうが断然お得です。

 

確かに青色申告は「ちょっと大変」です。しかしそれを上回るメリットがあるのです。

 

あなたに青色をおすすめする理由

個人事業主に青色申告をおすすめする理由は、次の2点です。

  • 白色申告と比べて金銭上のメリットが大きすぎる
  • 経営を知ることができる

 

白色申告と比べて金銭上のメリットが大きすぎる

白色申告と青色申告では、金銭上のメリットが違いすぎます。

しかも儲ければ儲けるほど、金銭上のメリットの差は広がります。

金銭上のメリットについては、「青色のメリット」の章でしっかり紹介していきます。

 

経営を知ることができる

青色申告をするには、「損益計算書」や「貸借対照表」といった「決算書」を作成しなければなりません。

これを「面倒な作業」と考えるか「経営を知る機会」ととらえるかで、今後の事業運営に大きな差が出るでしょう。

 

例えば損益計算書は、「売上金額」や「仕入金額」、「経費」などを記載します。経費は「租税公課」「水道光熱費」「旅費」「通信費」「広告宣伝費」などに細かく分かれます。

これら「」で示したものは、あなたが「ビジネスで使ったお金の名前」です。

 

ビジネスで重要なのは、

  • お金を稼ぐこと
  • お金の出入りを管理すること

の2つです。

 

お金を稼ぐことが上手な個人事業主は多いのですが、お金の管理ができる個人事業主は意外と少ないようです。しかし、お金の出入りを管理できない人が事業を急拡大させると、思わぬ落とし穴に遭遇してしまうでしょう。

 

決算書の作成は、お金を管理するスキルを磨く、最も効率的で最も効果的な訓練なのです。

 

青色と白色の違い

個人事業主が毎年2月中旬から3月中旬までの1カ月間に行わなければならない確定申告には、青色申告と白色申告があります。

青色申告には2種類あります。これらは以下のような違いがあります。

 

申告の種類 確定申告のときに必要な書類 その他
特別控除額65万円の青色申告 複式簿記、損益計算書、貸借対照表 特別控除以外にもメリット多数
特別控除額10万円の青色申告 単式簿記 特別控除以外にもメリット多数
特別控除がない白色申告 単式簿記 メリットなし

 

特別控除とは、所得税を安くする仕組みです。

所得税は、

所得税=(収入-必要経費-控除)×税率-課税控除額

で計算します。特別控除も控除の一種です。

この式から、特別控除の金額が増えるほど所得税の額が減ることが分かると思います。

 

単式簿記は、単純な小遣い帳のようなものです。白色申告者は「小遣い帳を付けるだけでよい」と覚えておいてください。ただ特別控除はありません。

 

青色申告には特別控除の金額が10万円のものと65万円のものがあります。

10万円の青色申告は、単式簿記でOKにもかかわらず、特別控除以外のメリットは65万円の青色申告と同じ内容となっています。

 

ですので、最低でも10万円の青色申告にしてみてはいかがでしょうか。

青色申告にするには、税務署で事前に申請する必要があります。

 

ちなみに、白色申告にも青色申告にも、個人事業主全員が対象となる基礎控除38万円は適用されます。

 

なぜ青色が嫌われるのか、何が面倒なのか

では65万円の青色申告に必要な損益計算書や貸借対照表の作成は「どれくらい大変」なのでしょうか。

 

確かにかつてはとても大変でした。

しかし最近は、金額を入力するだけで損益計算書、貸借対照表をつくってくれるソフトが販売されているので、とても簡単に作成できます。

 

青色のメリット

それでは青色申告のメリットを紹介します。メリットは次の5点です。

  • 65万円(または10万円)の特別控除
  • 赤字で節税できる
  • 家族に払う給料を必要経費に計上できる
  • 減価償却をしないで済む範囲が広がる
  • 貸倒引当金を必要経費に計上できる

 

1つずつ見ていきましょう。

 

65万円(または10万円)の特別控除

特別控除については説明済みですので、ここでは「65万円の特別控除の威力」について解説します。

 

所得税は、

所得税=(収入-必要経費-控除)×税率-課税控除額

で計算します。

 

この式の中の「控除」には「特別控除」も含みます。

この式の中の控除に注目すると、所得税は「控除×税率」の金額分が安くなることが分かります。

 

税率は個人事業主の所得によって異なり、5~45%となっています。

控除=特別控除=65万円とすると、「控除×税率」は32,500円~292,500円となります。

 

つまり、特別控除65万円を獲得するということは、所得税を32,500円~292,500円も安くできるというわけです。

 

赤字で節税できる

赤字は「嫌なもの」ですが、節税は「嬉しいもの」です。「赤字で節税」できるとはどういうことでしょうか。

 

青色申告にしておけば、赤字になっても節税というメリットを得られる、という意味なのです。

これが個人事業主にとってどれほど画期的なことなのか、見ていきましょう。

 

1回の赤字で最長4年間、所得税が0円になる

所得税の計算式はこうでした。

所得税=(収入-必要経費-控除)×税率-課税控除額

 

青色申告者と白色申告者がいて、ともに2018年の収入が100万円で必要経費が400万円かかったとします。2人とも300万円の赤字です。

この瞬間「収入-必要経費」がマイナス額になるので、この年は、白色申告者も青色申告者も所得税を支払わなくてOKです。

 

ではこの青色申告者と白色申告者が、翌年の2019年に、ともに収入が200万円で必要経費が100万円だったとします。

青色申告者も白色申告者も100万円の黒字なのですが、青色申告者は所得税を支払わなくていいのです。しかし白色申告者は所得税を支払わなければなりません。

それは、青色申告者が2018年の「赤字を持ち越せる」からです。

 

赤字を持ち越すことができる期間は、赤字の翌年を含めて3年間です。

つまり青色申告者は、2020年も100万円の黒字だったらこの年も所得税は0円です。

2021年も100万円の黒字だったら所得税は0円です。

 

まとめるとこうなります。

2人の事業成績 白色申告者 青色申告者
2018年:

300万円の赤字

所得税0円 所得税0円
300万円の赤字を翌年に持ち越す。
2019年:

100万円の黒字

所得税発生 所得税0円
2018年から持ち越した300万円の赤字のうち100万円分を使って100万円の黒字を相殺し「所得0円」として計算。

残りの200万円分の赤字は翌年に持ち越す。

2020年:

100万円の黒字

所得税発生 所得税0円
2019年から持ち越した200万円の赤字のうち100万円分を使って100万円の黒字を相殺し「所得0円」として計算。

残りの100万円分の赤字は翌年に持ち越す。

2021年:

100万円の黒字

所得税発生 所得税0円
2020年から持ち越した100万円の赤字を使って100万円の黒字を相殺し「所得0円」として計算。

これで2018年の300万円の赤字をすべて有効に使い切ったことになる。

 

白色申告者と青色申告者が同じ事業成績だったとしても、白色申告者は2019~2021年まで所得税を支払わなければならないのに、青色申告者は同じ期間、所得税0円のままなのです。

 

家族に払う給料を必要経費に計上できる

個人事業主が生計を同じくする家族に仕事を手伝ってもらい、その家族に給与を支払ったとき、青色申告者は家族への給与を必要経費として計上できます。

 

所得税=(収入-必要経費-控除)×税率-課税控除額

税率5~45%

ですので、もし家族に月5万円(年60万円)の給与を支払えば、必要経費に60万円上乗せできるわけです。

つまり「必要経費×税率」は3万~27万円となり、この分、所得税が減るというわけです。

 

ただ、家族に給与を支払って必要経費にするには、事前に税務署に届け出る必要があります。

 

減価償却をしないで済む範囲が広がる

業務のために10万円以上の資産を購入したら、減価償却しなければなりません。

例えば20万円のパソコンを2018年に買い、代金を一括で支払っても、2018年分の確定申告で20万円の全額を必要経費に計上できるわけではありません。20万円を4分割して、5万円ずつ1年ごとに必要経費計上しなければならないのです。

 

つまり、2018年分の確定申告(2019年2月に申告)では、パソコン購入に関する必要経費計上は5万円しか認められないのです。

2019、2020、2021年分にそれぞれ5万円(最終年だけ49,999円)ずつ計上しなければならないのです。

 

この場合、「もし2018年分の確定申告で20万円を一括して必要経費に計上できていたら、収支が赤字になって所得税を支払わずに済んだのに」ということが起こりえるわけです。

資金繰りが大変な年は、所得税を払うかどうかが経営を左右しかねません。

 

「原則10万円以下」が「30万円以下」にまで引き上がる

そんなとき、青色申告をしていれば、1個30万円未満の少額減価償却資産に関しては、1年で全額必要経費に計上できるのです。

つまり20万円のパソコンなら、その年に全額を必要経費に計上できるのです。

 

ただこのルールは2018年3月31日までの取得した資産に限られます。

 

貸倒引当金を必要経費に計上できる

青色申告をした個人事業主に認められる貸倒引当金の必要経費計上も、とても魅力的です。

 

あなたが商品を売る商売をしていたとします。そのとき、客に先に商品を渡し、代金は後日回収するということは珍しくないと思います。

しかし、客が倒産したり逃げたりしてしまったら、代金は回収できません。

 

青色申告をしている個人事業主は、年末の時点で回収できていない代金の5.5%を、貸倒引当金として計上することができます。

この貸倒引当金の額を、必要経費に計上できるのです。

 

必要経費は所得税を減らす効果があるので、貸倒引当金を認めてもらうことは経営に貢献するといえるのです。

 

ただ、必要経費に計上した貸倒引当金は、その翌年に貸倒引当金戻入という名称で、必要経費から差し引かなければなりません。

つまり2年間を通して見ると、貸倒引当金による節税効果はプラスマイナスゼロとなります。

しかし、大きな収入を得たときに貸倒引当金の仕組みを使うと、そのときの節税効果は「とてもありがたいもの」になるでしょう。

 

まとめ~大変なのは初年度だけ。翌年からは数字を入れ替えるだけ

決算書の作成は、最初はとても大変だと思いますが、しかし一度つくってしまえば、翌年からは数字を変えていくだけです。

一度でも青色申告を経験した人は、その簡単さとそのメリットから、白色にするか青色にするかで悩んでいる人に必ず青色申告をすすめるはずです。

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