個人事業主

【個人事業主の税対策】税金の種類を知る

個人事業主になったばかりの人は、常に「税金をどうしよう・・・」と考えているのではないでしょうか。

仕事をする以上、絶対に逃げられないのが税金です。しかも個人事業主はサラリーマン時代と異なり、すべて1人でこなさなければなりません。

 

税理士に依頼すれば解決しますが、費用がかかります。

税理士を頼む余裕がなければ知人に相談したり、ネットで調べたりしなければなりません。

ところがグーグルやヤフーで「個人事業主、税金」で検索しても、難しい専門用語が並ぶサイトばかりで読んでも頭に入ってきません。

 

そこでこの【個人事業主の税対策】では、記事に目を通すだけで、自然に税金のことが頭の中に入ってくる内容を目指しました。

 

だからといって、説明を簡素化しているわけではありません。

専門用語を一切使わず、日常で使われている言葉だけで詳しく解説したのです。

 

初回は個人事業主にまつわる4つの税金、

  • 所得税
  • 個人事業税
  • 住民税
  • 消費税

について、優しい言葉で詳しく紹介します。

 

所得税

所得税は個人事業主の税の中で最も重要なので、別の記事で所得税だけを取り上げて解説します。詳しくはそちらを参照してください。

 

ここでは所得税の概要だけを見ておきます。

 

ただ、読み飛ばさないでください。

所得税はとても深い内容なので、ここで概要を押さえておいたほうがいいからです。

 

所得と収入は異なる

所得税の「所得」という言葉は「収入」と似ていますが、所得と収入はまったく異なるので注意してください。

税金に対して苦手意識を持つ人は、所得と収入がうまく理解できていない人が多いようです。

「所得と収入の区別がつきにくい」と感じている方は、次の4つを覚えておいてください。

 

  • 収入は「入ってきたお金」
  • 所得は「残ったお金」
  • 収入のほうが必ず所得より大きな額になる
  • 収入が1億円でも所得が0円になることもある

 

この4つは暗記しておいてください。

 

そして所得が0円になると、所得税はかかりません。つまり次のことがいえるのです。

 

収入が1億円でも所得が0円になることがあり、そのとき所得税はかからない

 

収入が1億円でも所得が0円なら所得税はかからない

「収入が1億円でも所得が0円なら所得税はかからない」は、税金の基本的な考え方であり、節税を検討するときもこの考え方が重要になります。

 

収入と所得と所得税の3つの関係はとても不思議なのです。

「びっくりするぐらい大きな商売をしている人がほとんど税金を払っていない」という現象が起きるのは、所得税に「収入が1億円でも所得が0円なら所得税はかからない」という性質があるからなのです。

 

所得は次の計算式で出します。

所得=収入-必要経費-控除

 

そこで次に、必要経費と控除について見ていきましょう。

 

必要経費には所得税の額を下げる効果がある

収入が1億円あっても所得がゼロになるのは、必要経費と控除があるからです。

まずは必要経費から説明していきます。

 

必要経費とは、そのビジネスを行うために使ったお金のことです。

例えば輸入ビジネスを行っている個人事業主は、アメリカから商品を買って、その商品を日本で売っているわけです。

アメリカで商品を買ったときのお金は仕入金額といい、仕入金額が必要経費です。

 

アメリカのサイトで商品を探すには、パソコンを買ったりネットにつないだりする必要があります。パソコン代もネット通信費も必要経費です。

 

また喫茶店をやっている人は、コーヒー豆やパンなどをスーパーマーケットで購入しなければなりませんが、コーヒー豆代やパン代も仕入金額なので、必要経費です。

 

所得は

・所得=収入-必要経費-控除

で計算するので、必要経費が大きくなると、所得はどんどん小さくなり、最終的には所得はゼロ円になります。

それでも必要経費がかさむと、赤字経営になります。

 

商売で赤字になるのは、必要経費があるからです。そして所得税は、所得がゼロ円の人にも赤字の人にもかかりません。

必要経費には次のような性質があります。

 

  • 必要経費が多くかかると、所得税がかからなくなることがある
  • 必要経費には、所得税を下げる効果がある

 

控除にも所得税の額を下げる効果がある

・所得=収入-必要経費-控除

という計算式から分かる通り、控除にも必要経費と同じ性質があります。

つまりこういうことです。

  • 控除の額が大きくなると、所得税がかからなくなることがある
  • 控除には、所得税を下げる効果がある

 

「控除(こうじょ)」と聞くと難しく感じますが、控除とは要するに「国が所得税を減らしてくれること」と理解しておいてください。

控除は、税金を納める者としてはとてもありがたいものです。

 

ただ控除には、誰でも使うことができる控除と、条件に当てはまった人しか使うことができない控除があります。

 

控除にはたくさん種類がありますが、ここで覚えておいていただきたいのは、次の3つです。

 

  • 個人事業主なら誰でも使える控除を基礎控除といい、控除額は38万円
  • 個人事業主のうち、青色申告をする人が使える控除を青色申告特別控除といい、控除額は65万円
  • この2つの合計金額は103万円になる

 

★青色申告特別控除について

個人事業主の所得税の支払いには、青色申告と白色申告の2つの方法があります。青色申告では「決算書」が必要で、白色申告では「収支内訳書」が必要です。

 

個人事業主の多くは「決算書はつくるのが大変。収支内訳書はつくるのが楽」と考えますが、1~2度つくってしまえば、手間としてはそれほど変わりません。

しかも、青色申告には青色申告特別控除65万円があるのに、白色申告にはそのような控除はありません。

 

この65万円は、個人事業主を始めたばかりの人にはとても大きな金額になるでしょう。

所得が65万円となった場合、

  • 青色申告の人の所得税はゼロ円
  • 白色申告の人の所得税は32,500円

になるのです。

 

決算書という書類をつくるだけで32,500円を浮かすことができるのです。つまり利益になるのです。

個人事業主が商売で32,500円の利益を生み出すことは大変なことです。それを書類をつくるだけで獲得できるのです。

ぜひ、青色申告を検討してみてください。

 

ちなみに白色申告でも、基礎控除38万円は適用されます。

 

所得の額を出そう(所得=収入-必要経費-控除)

さて、これまでに「収入」「必要経費」「控除」を見てきました。この3つがそろえば所得の額を計算できます。計算式はこうでした。

所得収=入-必要経費-控除

 

この計算式からは、必要経費と控除の金額が大きくなればなるほど所得が小さくなることが分かります。

よって、次のことがいえるのです。

 

収入がいくら多くても、必要経費と控除の額が大きくなれば所得が0円になり所得税がかからなくなる

 

ただ、本来のビジネスの姿は、必要経費や控除を上回る収入を上げることです。

所得がプラス金額だと所得税がかかってしまうのですが、所得のプラス金額をどんどん増やしていき、所得税を多く収めることを目指しましょう。

 

話を本題に戻します。

所得の金額が計算できたら、後はこれに税率をかければ所得税の額を出すことができます。

 

所得税の額を出そう(所得税=所得×税率-課税控除額)

所得税の額は

所得税=所得×税率

で出ます。

 

ただ国は、ここでも少し所得税の額を減らしてくれます。

課税控除額という控除をしてくれるのです。

 

そのため、所得税の計算式は正しくはこうなります。

所得税(支払う所得税の額)=所得×税率-課税控除額

 

《税率について》

この計算式を見ると、税率の数字が小さいほど、所得税が安くなることが分かります。

税率は固定した数字ではなく、所得が多い人ほど税率が高くなるよう設定されています。

所得が195万円以下の場合、税率は5%ですが、所得が195万円超~330万円以下の場合は10%、所得が4,000万円を超えると45%にもなります。

 

《課税控除額について》

課税控除額は「所得税速算表の控除額」とも呼ばれることもあります。

課税控除額は、所得が195万円以下の人は0円、つまり控除なしです。

所得195万円超~330万円以下の人の課税控除額は97,500円になっています。

所得4,000万円超の人の課税控除額は4,796,000円です。

 

課税控除額も控除ですので、税金を安くする効果があります。

 

所得と税率と課税控除額の関係は以下の通りです。

所得 税率 課税控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

 

シミュレーションしてみよう

これで所得税の説明はすべてとなります。

ではこれまで紹介した項目と計算式を使って、

  • 収入:5,000,000円
  • 必要経費:500,000円
  • 控除103万円

というケースの、青色申告の個人事業主の所得税を算出してみましょう。

 

まずは所得を出します。

・計算式:所得=収入-必要経費-控除

所得:3,470,000円(=5,000,000円-500,000円-1,030,000円)

 

所得が347万円なので、上の表から税率は20%、課税控除額は427,500円でることが分かります。

ここから所得税の額を出します。

・計算式:所得税=所得×税率-課税控除額

所得税:266,500円(=3,470,000円×20%-427,500円)

 

つまり50万円の経費を使って500万円を稼いだ人は、所得税を266,500円支払わなければならない、というわけです。

 

ただ、控除の額はさまざまな条件によって異なるので、必ずしもこのような計算になるとは限りません。

 

所得税は確定申告をして払う

所得税は1月1日から12月31日までの1年間の所得について課せられます。

個人事業主は自分の所得を税務署に届け出なければなりません。

 

個人事業主が自分の所得を税務署に届け出ることを確定申告といい、所定の用紙に必要事項を記入して提出します。

 

所定の用紙は

  • 青色申告の人は決算書(白色申告の人は収支内訳書)
  • 青も白も確定申告書

の2種類があります。

 

確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に税務署で行います。

決算書(または収支内訳書)と確定申告書を提出するだけです。

確定申告をすると納付書がもらえます。

実際の所得税の支払いは、この納付書を使って行います。

 

所得税は3月15日までに支払わなければなりません。

支払い方法は4通りあります。

  • 納付書を添えて税務署で現金を支払う
  • 納付書を添えて金融機関で現金を支払う
  • 所得税が30万円以下の場合、コンビニで支払うことも可能(ただし税務署からバーコード付きの納付書を発行してもらう必要があります)
  • 自分の銀行口座から引き落としてもらう

 

所得税を払わないとどうなるの?

1年間の収入が38万円以下の個人事業主は、確定申告をする必要がありません。

なぜなら、個人事業主なら誰でも使える基礎控除が38万円だからです。

所得の額は「所得=収入-必要経費-控除(基礎控除など)」で計算しました。

 

同様に、仮に収入が500万円の人でも、必要経費が462万円かかった人は、やはり基礎控除を引くと所得が0円になるので確定申告は不要です。

 

ただ「収入500万円、必要経費462万円」のような個人事業主は、本当に必要経費が462万円に達しているか確認したほうがいいでしょう。

 

税務署に相談して「こうして計算した結果、確定申告は必要ないと判断したのですが、計算ミスはないですよね」と確認したほうがいいでしょう。

それで税務署から「計算が間違っています。確定申告をして所得税を支払ってください」と言われるかもしれませんが、計算間違いを放置するより所得税を支払ったほうがいいでしょう。

 

なぜなら、税務署は過去7年にさかのぼって税務調査を行うことができるからです。

税務調査で計算間違いが見つかり、本来は確定申告して所得税を支払わなければならないのに、それをしていないことが分かったら、より多くの所得税を支払わなければなりません。

 

税務調査はとても厳格です。「脱税」という烙印を押されたら、ビジネスの継続が難しくなるかもしれません。

 

個人事業税

個人事業主は、個人事業税を納めなければなりません。

所得税は国に納める国税ですが、個人事業税は都道府県に納める地方税です。

 

70種類の業種に当てはまる人のみ対象

個人事業税を払わなければならない個人事業主は、法律で定められた業種に当てはまる人です。

その業種は次の表の70種類あり、ほとんどの人はいずれかにあてはまるのではないでしょうか。

 

区分 税率 事業の種類
第1種事業

(37業種)

5% 物品販売業 運送取扱業 料理店業 遊覧所業
保険業 船舶ていけい場業 飲食店業 商品取引業
金銭貸付業 倉庫業 周旋業 不動産売買業
物品貸付業 駐車場業 代理業 広告業
不動産貸付業 請負業 仲立業 興信所業
製造業 印刷業 問屋業 案内業
電気供給業 出版業 両替業 冠婚葬祭業
土石採取業 写真業 公衆浴場業(むし風呂等)
電気通信事業 席貸業 演劇興行業
運送業 旅館業 遊技場業
第2種事業

(3業種)

4% 畜産業 水産業 薪炭製造業
第3種事業

(30業種)

5% 医業 公証人業 設計監督者業 公衆浴場業(銭湯)
歯科医業 弁理士業 不動産鑑定業 歯科衛生士業
薬剤師業 税理士業 デザイン業 歯科技工士業
獣医業 公認会計士業 諸芸師匠業 測量士業
弁護士業 計理士業 理容業 土地家屋調査士業
司法書士業 社会保険労務士業 美容業 海事代理士業
行政書士業 コンサルタント業 クリーニング業 印刷製版業
3% あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業 装蹄師業

 

個人事業税の額

個人事業税の額は、次の計算式で算出します。

個人事業税=(収入-必要経費-各種控除-事業主控除290万円)×税率

 

必要経費は所得税のものと同じです。

各種控除には、所得税のときに使うことができた基礎控除38万円と青色申告特別控除65万円は含まれません。

 

その代わり、事業主控除290万円を受けることができます。

計算式から分かる通り、収入が290万円以下の場合、個人事業税はかかりません。

 

収入から必要経費、各種控除、事業主控除290万円を差し引いてもプラスの数字になれば、これに税率をかければ、個人事業税の額が出ます。

 

税率は上の70種類の業種の表の中の税率となりますが、ほとんどは5%となっています。

 

個人事業税はいつ払うのか

個人事業税については、特別な手続きをする必要はありません。

税務署で所得税を支払うための確定申告を行えば、「自動的に」都道府県から納税通知書と納付書が郵送されてきます。

 

「自動的に」というのは、確定申告のデータは、税務署から都道府県に流れる仕組みになっているからです。都道府県は、税務署から入手した確定申告のデータを使って個人事業主に個人事業税の支払いを請求してくるというわけです。

 

個人事業税は8月末と11月末の2回に分けて支払うことができます。一括支払いもできます。

支払う場所は税務署や銀行で、30万円以下ならコンビニで支払うことができます。

 

住民税

住民税は都道府県民税と市区町村民税の2種類がありますが、住民税として合算されて個人事業主のところに請求が来ます。

 

住民税はさらに、均等割と所得割に分かれます。つまり住民税は、次の4種類の税を合わせたものなのです。

住民税
都道府県民税 市区町村民税
均等割 所得割 均等割 所得割
       

 

住民税の均等割とは全員が同額払う税金

均等割とは、所得に関係なく、その都道府県やその市区町村に住んでいる人ならば誰でも同額負担する税金のことです。ただ所得が一定額を下回る人は住民税の所得割を免除されます。

 

東京都内に住んでいる人の均等割は次のようになっています。いずれも年額です。

・都道府県民税の均等割1,000円(2014~2023年は復興特別税としてプラス500円)

・市区町村民税の均等割3,000円(2014~2023年は復興特別税としてプラス500円)

 

東京都の都道府県と市区町村の均等割の合計は4,000円(2014~2023年は復興特別税としてプラス1,000円)となります。

ほかの都道府県も大体年4,000~5,000円程度です。

 

住民税の所得割とは所得に応じて支払う税金

住民税の所得割は、次のような計算式になります。

住民税の所得割の額=(所得-所得控除)×税率-税額控除

 

税率は、都道府県民税が4%、市区町村民税が6%です。合わせて10%となります。

 

所得は「収入-必要経費」で計算します。

所得控除は、医療費や生命保険料などによって異なります。

税額控除には、配当控除や外国税額控除などがあります。

 

住民税をまとめた表

住民税についての以上の解説をまとめると次のようになります。

 

住民税
均等割

4,000円(復興特別税としてプラス1,000円)

所得割

(所得-所得控除)×10%-税額控除

都道府県民税 市区町村民税 都道府県民税 市区町村民税
1,000円

(復興特別税としてプラス500円)

3,000円

(復興特別税としてプラス500円)

(所得-所得控除)×4%-税額控除 (所得-所得控除)×6%-税額控除

 

住民税はいつ払うのか

住民税も、個人事業主が手続きする必要はありません。

所得税の確定申告のデータが税務署から都道府県と市区町村に流れ、都道府県が代表して個人事業主に住民税を請求します。

 

住民税は6月末、8月末、10月末、翌1月末までに支払えばOKです。一括支払いもできます。

役所、銀行、郵便局で支払うことができます。

30万円以下ならコンビニで支払うこともできます。

 

消費税

個人事業主が客に商品を売るときに消費税を上乗せして請求していると思います。

客からもらったその消費税は「原則」税務署に納めなければなりません。

 

ただ「例外」があり、その例外に当てはまれば消費税を税務署に支払う必要はありません。

消費税を支払う必要がない個人事業主は、1人で商売をしていて、1人も雇用していない個人事業主です。

 

もしその条件に当てはまる方は、この消費税の部分は読まなくても大丈夫です。

 

消費税を納めなくてもよい個人事業主

1人で商売をしていて、1人も雇用していない個人事業主はそもそも消費税を支払わなくてもいいのですが、次の2つのいずれかにあてはまる個人事業主も、消費税を税務署に納める必要がありません。

  • 個人事業主になってから2年間
  • 前々年の課税売上高が1,000万円以下

 

課税売上高とは、消費税を含まない売上高です。

例えば、個人事業主が100円の商品を税込み価格108円で客に売ったとします。この場合、課税売上高は100円となります。

「この100円という金額に消費税という税が課かっている」というわけです。

課税売上高とは、要するに税抜きの売上高のことです。

 

上記の2条件のいずれかに当てはまる個人事業主は消費税を税務署に支払う必要はないのですが、だからといって客からもらった消費税分を客に返す必要もありません。

 

客からもらった消費税も、個人事業主の収入にしていいのです。法律的に何ら問題はありません。もちろん客に「消費税を支払っていないので、消費税は要りません」と言ってもかまいません。

ただ消費税をもらったらそれも収入になるので、客からもらった消費税も所得税の対象になります。

 

消費税を支払わなければならない個人事業主とは

個人事業主が消費税を税務署に支払わなければならないケースを紹介します。

 

個人事業主の課税売上高(税抜き売上高)が、次のように推移したとします。

2018年:個人事業主になった。課税売上高は900万円だった。

→2019年:950万円

→2020年:1,200万円

→2021年:950万円

→2022年:950万円

 

この場合、消費税を支払う・支払わないはこうなります。

2018年:消費税を支払わなくてよい

2019年:消費税を支払わなくてよい

2020年:消費税を支払わなくてよい

2021年:消費税を支払わなくてよい

2022年:消費税を支払わなければならない(前々年の2020年が1,000万円を超えていたから)

2023年:消費税を支払わなくてよい(前々年の2021年が1,000万円以下だから)

2024年:消費税を支払わなくてよい(前々年の2022年が1,000万円以下だから)

 

1人で商売している個人事業主は消費税を払う必要がない

ただ、個人事業主が1人で商売していて、誰も雇わずに他人への給料が発生していない場合は、2022年も消費税を支払わないという選択をすることができます。

 

つまり1人で商売している個人事業主は、消費税を税務署に納めなくてもよい、ということになります。

 

このように説明すると「わざわざ消費税を税務署に支払いたいと考える個人事業主なんているの?」と考えると思います。

いるのです。

 

それは、輸入業をしている人です。

消費税を税務署に納めるとき、客からもらった消費税額をすべて税務署に納めるのではなく、個人事業主が支払った消費税額を差し引いて納税するのです。

 

つまり、個人事業主が商材にする商品を輸入したときに多額の消費税を支払った場合、税務署に「消費税を支払います」という手続きをすると、税務署に支払う消費税額より、自分が支払った消費税の一部が戻ってくる金額のほうが多くなることがあるのです。

 

消費税の額の計算方法

税務署に支払う消費税の額は、次のように計算します。

税務署に支払う消費税=客からもらった消費税額-材料の購入や商品の購入のときに支払った消費税額

 

例えば、50,000円(税込み54,000円)で購入した商品を70,000円(税込み75,600円)で売った場合、2つの消費税の差額1,600円(=5,600円-4,000円)を税務署に納めることになります。

 

繰り返しになりますが、1人で商売していて、誰も雇用していない個人事業主は、売上金額がいくらになろうとも「消費税を税務署に支払わない」選択ができます。

 

消費税はいつ払うのか

消費税を支払うには、税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。

消費税は税務署に3月31日までに支払わなければなりません。

 

今日のおさらい

いかがでしたでしょうか?

もし内容が多すぎて頭に入らないという方は、ぜひもう一度、冒頭から読み直してみてください。

2回目は必ずすんなり頭の中に入ってくるはずです。

 

そして2回目を読む前に、上記のすべての内容を超簡単にまとめた下の表に目を通しておいてください。

 

所得税 一番重要。確定申告という面倒な作業もある。

必要経費と控除で所得税を減らせる。税率は所得額によって4~45%まである。

個人事業税 70業種に当てはまると支払い義務あり。ただ、収入が290万円以下なら支払う必要なし。税率は5%が多い。
住民税 均等割は5,000円くらい。所得割の税率は10%。
消費税 1人で商売している個人事業主は無視してよい

 

これを把握して読み返せば、今度こそすべて頭の中に入るでしょう。

コメントを残す

*