かねてより僕は「副業をしない時代は終わる」と言い続けていますが、そのことを裏付けるニュースを、日本経済新聞が報じました。
日経のその「副業容認で社員育成 、コニカミノルタやDeNA」という記事の内容を深掘りするとともに、僕の雑感を交えて副業の将来を予測してみたいと思います。
コニカミノルタ
日経新聞の2017年12月28日の記事では、社員に副業を認めている大手企業として、コニカミノルタ、DeNA、ソフトバンクを紹介しています。
まずはこれらの企業がどのような性質を持っているかを概観し、その後、各社の副業容認の内容を見ていきます。
まずはコニカミノルタですが、少し古い人であればこの会社がコニカとミノルタが合併した合併した会社であることを知っているはずです。
会社概要
- 会社名:コニカミノルタ株式会社
- 本社:東京都千代田区
- 設立:1936年
- 資本金:約375億円
- 従業員数:単体約6,000人、連結約44,000人
- 連結売上高:約9,626億円(2016年4月1日~2017年3月31日)
- 連結税引前利益:約493億円(同上)
世界50カ国に拠点を持つグローバル企業
コニカミノルタは、情報機器、ヘルスケア、産業用材料を製造販売するメーカーです。
《情報機器事業》
コニカミノルタがつくっている情報機器では、情報機器コピー機能やファックス機能を搭載した複合機が有名です。そのほかデジタル印刷システムなどをつくっています。
一般企業のオフィスから専用メーカー向けの製品まで幅広くつくっています。
《ヘルスケア事業》
コニカミノルタは、医療分野にも進出しています。X線撮影や超音波など、人体を検査する機器が強みです。
《産業用材料事業》
コニカもミノルタも、元はカメラをつくっていました。カメラは事業分野でいうと「光学」に属します。
そのような歴史があるので、計測機器や産業用レンズなども製造しています。
コニカミノルタはまさに日本のものづくりを代表する企業の1つといえます。
世界50カ国に拠点を持つグローバルカンパニーです。
コニカミノルタの副業とは
企業が従業員の副業を認めるといっても、企業によってルールが異なります。
副業ルールの中で最も社員たちが気になるのは「どのような条件をクリアすれば副業を認めてもらえるのか」という点だと思います。
コニカミノルタは、本業と相乗効果が見込める副業しか認めない方針を示しています。
つまり副業で稼ぎたい社員は、情報機器またはヘルスケアまたは産業用材料に関わるビジネスを発案しなければならないということです。
しかもコニカミノルタでは、副業をしたい社員が会社に申告をして、会社から承認をもらわなければならなりません。ハードルは高そうです。
2017年12月1日から副業容認をスタートして、その12月だけで3件の副業を承認しました。
会社の承認をもらうのはしんどそう
僕の感想を述べさせてもらうと、これはちょっとしんどそうですね。
副業は自分が得意な分野や趣味で始めたいものです。
なぜなら、得意分野や趣味なら、事前の準備や予習が必要ないからです。
事前の準備や予習が必要だと、それだけでストレスが発生してしまい、副業自体が嫌になってしまいます。
誰しも副業は、あまり脳を酷使しない形で、リラックスしながら行いたいと思うでしょう。
ところがコニカミノルタ方式ですと、本業に関係するジャンルでしか副業を認めないわけです。コニカミノルタの事業内容には手芸やキャンプは入っていないので、手芸作品を売りたい人や、休日にキャンプインストラクターをしたい人は、副業として認められないということになります。
これでは、副業のために使う脳は本業で使う脳と同じです。副業といいつつ、残業をしているような気持ちにならないでしょうか。
DeNAとは
DeNAといえば、プロ野球球団を買収したことで一躍有名になりました。
会社概要
- 会社名:株式会社ディー・エヌ・エー
- 本社:東京都渋谷区
- 設立:1999年3月
- 資本金:約104億円
- 従業員数:単体約1,000人、連結約2,400人
- 売上高:1,438億円(2017年3月期)
- 税引前利益:256億円(同上)
ゲームを主体としたスポーツを含むコンテンツ企業
DeNAの携帯ゲームはモバゲーのブランド名で知られていて、ゲームアイテムは実に1,000種類を超えます。
任天堂と提携したことで、さらにゲーム界での地位を確立しました。
そのほか、漫画やアイドル、アニメなど、若者向けコンテンツに強い会社です。
そして以外に知られていないのは、ロボット、車の自動運転、遺伝子分析といった分野への進出です。
NeNAの副業とは
事業内容からも自由闊達な社風が想像されますので、副業にも寛容な雰囲気を感じさせます。DeNAは2017年10月から副業を容認し始めました。
ところがさすがにDeNAも「自由に副業してかまいません」とはなっておらず、副業をするには上司と面談する必要があります。
ただ、既存業務に想像効果が出るかどうかは問わない、としています。
社員のモチベーションを高めるという目的はグッド
そうなると逆に、DeNAはなぜ副業を許可しているのでしょうか。
DeNAは副業を容認した理由についてマスコミに対し「複数の職務経験を並行して積むことで、社員の仕事へのモチベーションが高まるから」と説明しています。
これは、副業をしたいと考える人の心理をきちんと理解していると感じさせます。
副業をしたい人のほうが、実は本業を大切にします。
「副業に専念するために本業をおろそかにしてダブルで収入を得ようとしているのだろう」という考えは、ほとんどの副業希望者に当てはまりません。
なぜなら副業を考えている人は、自分の可能性を広げたいという希望を持っているからです。その「可能性」の中には、もちろん本業も含まれているのです。
副業を考えている人が、本当に本業が嫌いになったら、本業を辞めていることでしょう。
本業を続けながら自分の力を試したい、と考える仕事大好き人間が副業を始めるのです。
DeNAのような副業観を持つ企業が増えることを期待します。
ソフトバンクとは
ソフトバンクといえば孫正義さん、孫さんといえば世界有数の経営者という理解は、誰も依存がないでしょう。孫さんは300年企業構想を打ち出しています。
とにかくさまざまな意味で規模が大きい会社です。
会社概要
- 会社名:ソフトバンクグループ株式会社
- 設立:1981年9月
- 本社:東京都港区
- 資本金:約2,388億円
- 子会社数:761社
- 従業員数:単体約200人、連結約68,000人
- 売上高:8兆9,010億円(2017年度)
- 当期純利益:1兆4,263億円(同上)
スマホやヤフー、とにかくIT王者
ソフトバンクはITとインターネットの企業です。
スマホ事業では、NTTドコモ、auと並ぶ3強の1つです。
さらに日本で最も有名なサイト「Yahoo!」もソフトバンクグループです。
アメリカの携帯会社「スプリント」や、世界屈指の半導体メーカー「アーム」も持っています。
とにかく、ITやインターネット、スマホに関連することで、ソフトバンクが絡んでいない事業ないといってもいいでしょう。
ソフトバンクの副業とは
ソフトバンクが2017年11月に副業OKしたところ、わずか2か月後の12月下旬には100人が副業を始めました。
副業を始めることができる条件は、
- 本業に影響がない範囲で行うこと
- スキルアップに役立つこと
- 成長に役立つこと
となっています。
従来は、副業禁止を明確に表明していました。
それを180度転換して副業OKにしたのは、「イノベーティブでクリエイティブな企業風土にするため」だそうです。
社員たちの副業の種類は、プログラミング・セミナーの講師などとなっています。
「そうなんだよなあ」と思う
孫さんの経営を見ていると、「いつまでもベンチャー精神」という印象を受けます。
ソフトバンクは大企業病にかかってもおかしくないくらいの規模になっているのに、いまだにガツガツしている雰囲気が漂っていて、大企業っぽくありません。
副業禁止から副業容認に一瞬にして変えたところも、ガツガツ感を感じます。
ビジネスにとって良いことは、従来の慣習を破ってでも導入するのです。
まとめ〜副業の流れはもはや止められない
ノートパソコンの「日本レノボ」や、医薬品の「ロート製薬」、ITの「サイボウズ」なども、副業容認に動いています。
副業を認めない企業はもはや、「時代遅れ」どころか「時代に逆行している」というレッテルを貼られるのです。
みなさんも、自分が勤める会社が「いまは」副業を認めていないとしても、副業の準備を始めておきましょう。
ソフトバンクのように、あなたの会社の社長も「明日から副業を許可する」と言うかもしれないからです。
《参考資料》
「副業容認で社員育成 コニカミノルタやDeNA」(日本経済新聞)
「ソフトバンク、社員の副業OKに」(ITmedia NEWS)
「エッセンシャル インフォメーション」(ソフトバンクグループ株式会社)