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特定商取引法って何?副業で転売やネットショップ運営を行う方は要チェック!

ヤフオクやネットショップ、Amazon等で転売などの副業を始めたいという方は多いです。しかし、ヤフオクでの転売やネットショップでの販売を本格的に行うなら「特定商取引法」のことも理解しておく必要があります。

転売は副業の中でも結果を出しやすいので、ちゃんとコツを抑えることで初めてでも大きな売り上げと安定的な利益を見込める可能性もあります。

特定商取引法は一度は聞いたことがある言葉だと思いますが、詳細までは知らないという方は多いです。

そこで今回は副業で転売、販売を始めたいという方が意識しておきたい特定商取引法に関する情報をご紹介したいと思います。

特定商取引法とは?

「特定商取引法」とは事業者による悪質、違法な勧誘行為等から消費者の利益を守ることを目的とした法律です。

訪問販売や通信販売などの取引は消費者トラブルが生じやすいことで知られており、代金を支払ってから「言っていることが違う」「商品が届かない」ということがよくあります。

このような状況に陥った消費者を守ることができるように、クーリングオフ等のルールを定めたものが特定商取引法となります。

ちなみに特定商取引法の対象となる類型は以下のとおりです。

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

以上が特定商取引法の対象となる類型です。

ご覧のようにこの中にはネットショップなどの通信販売も含まれています。

そのため、これから副業でネットショップ等をオープンさせたい方は特定商取引法の基本的なルールだけでも知っておくことが必要です。

ネットショップ運営などでよく聞く「特定商取引法に基づく表記」とは?

ここからはネットショップなどインターネット上で行うビジネスを対象に特定商取引法の解説をしていきます。

特定商取引法のことを調べていると「特定商取引法に基づく表記」という文言を多く見かけます。

これは「特定商取引に関する法律」の第11条によって事業者に課せられている規制のことです。

ネットショップなどの通信販売では互いに顔を合わすことがない取引形態です。

そのため、消費者が商品やショップの情報を知るには広告しかありません。

しかし、この広告の情報が不足していたり、不十分であると消費者に大きな不安を抱かせたり、後にトラブルが起きる可能性もあります。

このような万が一のトラブルを避けるためにも広告には必要最低限の情報を記載しておくことを定めています。

これが前述の「特定商取引法に基づく表記」ということであり、具体的には以下の情報を表示しなければいけません。

1. 販売価格(役務の対価) (送料についても表示が必要)

2. 代金(対価)の支払い時期、方法

3. 商品の引渡時期 (権利の移転時期、役務の提供時期)

4. 商品 (指定権利) の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項 (返品の特約がある場合はその旨含む。)

5. 事業者の氏名 (名称)、住所、電話番号

6. 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名

7. 申込みの有効期限があるときには、その期限

8. 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額

9. 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容

10. いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境

11. 商品の販売数量等の制限等、特別な販売条件 (役務提供条件)があるときには、その内容

12. 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料である時には、その金額

13. 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス

【参考サイト】

消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」

以上が特定商取引法で定められた広告の表示事項となります。

若干難しい用語も使われており、理解しにくい部分もありますが、簡単に説明すると以下の情報を記載しておきなさいということです。

  • 販売価格
  • 送料
  • 販売価格や送料以外に負担すべき内容や金銭
  • 代金の支払い時期
  • 代金の支払い方法
  • 商品の引渡時期
  • 返品特約に関する事項
  • 事業者の氏名又は名称
  • 事業者の住所
  • 事業者の電話番号
  • 代表者氏名又は責任者氏名
  • ソフトウェアに係る取引の場合のソフトウェアの動作環境

以上となります。

ご覧のように販売価格や送料以外にも代金の支払い時期や支払い方法、返品に関する事項などさまざまな情報を記載する必要があります。

また「特定商取引法に基づく表記」では「氏名」「住所」「電話番号」も表示しておかなければいけません。

これはネットショップを運営する立場の人間からしたら「何で?」となりがちです。

しかし、商品を購入する消費者の立場になると、これらの情報が記載されていたほうが安心してショッピングができます。

また電話番号も問合せや返品業務を円滑に進める上で重要となります。

今後、副業でネットショップを運営したいという方はこの「特定商取引法に基づく表記」はしっかりと覚えておきましょう。

オークションサイトでも「特定商取引法に基づく表記」は必要なの?

前述のように通信販売に該当するネットショップ等では原則として「特定商取引法に基づく表記」は必要です。

しかし、ここで多くの人が疑問に思うのが、ヤフオクなどに代表されるオークションサイトでも「特定商の表記は必要なの?」ということです。

この疑問についての回答ですが「出品者が販売業者に該当すれば、特定商取引法の表示は必要」となります。

「特定商取引法に基づく表記」が必要とされるのはあくまでも営利の意思を持って反復継続して取引を行う者のみです。

つまり「たまたま家に不用品があったからオークションで売る」という際には特定商取引法の表示は不要です。

しかし、「副収入を得たいから商品を仕入れて」という行為を継続的に行うのであれば販売業者に該当する可能性が高いため、特定商取引法のルールを守る必要があります。

ここで新たな疑問となるのが「業者とみなされる目安のようなものはあるの?」ということです。

これに関しては消費者庁の「インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン」に詳細が掲載されています。

このガイドラインによると販売業者に該当するか否かを判断する目安は以下のとおりです。

【すべてのカテゴリー・商品について】

過去1ヶ月に200点以上又は一時点において100点以上の商品を新規出品している場合

但し、トレーディングカード、フィギュア、中古音楽CD、アイドル写真等、趣味の収集物を処分・交換する目的で出品する場合は、この限りではない。

落札額の合計が過去1ヶ月に100万円以上である場合

但し、自動車、絵画、骨董品、ピアノ等の高額商品であって1点で100万円を超えるものについては、同時に出品している他の物品の種類や数等の出品態様等を併せて総合的に判断される。

落札額の合計が過去1年間に1,000万円以上である場合

以上がオークションサイト等で販売業者とみなされる可能性が高いケースとなります。また、これ以外にも消費者トラブルが生じやすい「特定のカテゴリー・商品について」の詳細にも一度目を通しておくのがよいでしょう。

【参考サイト】

インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン

もちろんこのガイドラインに掲載されている出品数、売上金額を超えたからといって必ずしも罰則があるわけではありません。

しかし、これから副業で転売を始める方は大体の目安として参考になるため、把握しておくことを推奨します。

Amazonで特定商取引法に基づく表記を怠るとアカウント停止のリスクもある

Amazonでは正式なメールとして過去に「【重要】特定商取引法その他の法令に基づく表示の徹底のお願い」というタイトルでメールが送信されたことがあります。

内容としては単純に「特定商取引法に基づく表記」の記載をお願いするというものでしたが、そのメールの中には「本規約または適用ある法令に違反した場合、出品の一時停止、出品資格の永久停止等を含む措置が取られる場合があります。」という内容も書かれていました。

これはつまり「特定商取引法に基づく表記をしていないことが原因でアカウントを停止、もしくはアカウント閉鎖の措置を取る」というAmazonの強い姿勢の表れです。

それだけAmazonは特定商取引法に基づく表記の記載の徹底を進めているということになりますので、余計なリスクをとらない為にも必ず表記しておいた方がいいという事です。

副業禁止の会社に勤めているなどで会社にバレたくない場合は、住所にバーチャルオフィスを記載し、名前の表記をアルファベットにするということでもとりあえず表記しているということにはなるので一旦そのように表記してみるといいでしょう。

「特定商取引法に基づく表記」は絶対に表示させなければいけませんか?

副業で本格的に販売や転売を行うのであれば特定商取引法の法律を守る必要があることは理解できました。

しかし、本業を持っている方からは「氏名、住所、電話番号などは絶対に表示させなければいけませんか?」という悩みの声は多いです。

実はこの特定商取引法ですがある一定の条件を満たすことで省略することが可能です。

この項目に関しては消費者庁の特定商取引法ガイドに以下のように記載されています。

●広告の表示事項を省略できる場合

広告の態様は千差万別であり、広告スペース等もさまざまです。したがって、これらの事項をすべて表示することは実態にそぐわない面があるので、消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面(インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を「遅延なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅延なく」提供できるような措置を講じている場合には、下の表の通り、広告の表示事項を一部省略することができることになっています。

【参考サイト】

消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」

ご覧のように特定商取引法の事項を表示する際に「実態にそぐわない面」がある場合には特定商取引法の一部を省略することが可能です。

そして「実態にそぐわない面」という部分の解釈についてですが、これは経済産業省などによると「表示スペースが足りない場合」という意味だそうです。

つまり「個人情報を公開したくないから」という理由での省略は難しいということです。

また省略は可能でも消費者から問い合わせが入った場合には速やかに省略事項を提供できるようにしておかなければなりません。

このように現在の法律では「広告スペースが不足している」場合のみ特定商取引法の表示を省略できることになっています。

どうしても副業バレしたくない場合は家族の名前でもいい

特定商取引法に基づく表記は偽名や表記をアルファベットにするなどと言った措置では確かに法的にグレーですが、かといってどうしても本名を明かしたくないということであれば、奥さんや家族の名前を使うと言う方法があります。

家族に副業について理解を得られているということが大前提なので、もし家族にも隠れて副業をしているのであればまずカミングアウトして活動内容を認めてもらうよう説得するところからですね。

特定商取引法に基づく表記は必ずしも「社長」の名前を出す必要はありません。責任者と運営者が違うことなんてどこでもよくあることですし、従業員という形で奥さんや親族の名前を使わせてもらえるのであればそれが最善策ということになります。

現状では「特定商取引法に基づく表記」を省略している人は多い

前述のように「個人情報を載せたくない」という理由で「特定商取引法に基づく表記」を省略することは原則として認められていません。

しかし、現状では個人でオークションサイトに出品している、ネットショップを運営している方の中には特定商取引法を表示していない方もちらほら見かけます。

特定商取引法に違反した場合には業務改善指示(法第14条)、業務停止命令(法第15条)の行政処分や罰則の対象となります。

そのため、本来であれば前述の個人でオークション出品、ネットショップ運営を行っている方などは「特定商取引法の表示義務違反」に該当します(出品数や売上げが一定以上の場合)。

ところが過去にこれらの方から「業務改善指示の連絡がきた」という話は滅多に聞きません。

これは改善の指示を出す経済産業省側の「個人1人、1人を細かくチェックする時間がない」という理由もあると思われます。

また特定商取引法を省略している理由が広告スペースの問題なのか、個人的な理由なのかが一目では判断しにくいことも影響しているでしょう。

そのため、常に世間の注目を集めている大企業ならまだしも、一個人が小さく行っている販売や転売に関しては、よほど悪質でない限りは見逃されているという見方もできます。

もちろん前述のように国から「販売業者」とみなされてしまえば、指示に従って特定商取引法の表示義務をしっかり守らなければいけません。

ただし、販売業者に該当する目安は先ほどもご紹介したように「100個、200個の商品を短期間のうちに出品する」「1ヶ月の売上げが100万円以上」などとなっています。

これは副業で初めてオークションサイトを利用する方にとっては当分先の話になるため、出品当初は大きな心配をする必要はありません。

しかし万が一、経済産業省などから「業務改善指示」の連絡が入った場合には速やかに対処しましょう。

この段階で改善しておけば大きな問題になることはありません。

逆に指示に従わずに出品を続けた場合には業務停止命令や罰則の対象になることもあるので注意しておきましょう。

まとめ

オークションサイトでの転売、ネットショップでの販売において度々テーマに取り上げられることも多い特定商取引法。

この法律は悪質な事業者から一般消費者を守るためには大切でもあります。そのため、本来であれば転売、販売を行う方は表示したほうが好ましいです。

しかし本業を持つ方からは「会社にばれたくない」という声が非常に多いのが現状です。

このような方は今回ご紹介した情報を参考にしながら特定商取引法と上手に付き合ってみてください。

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