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副業で転売を始めるなら覚えておきたい古物商許可証

これから副業を始める方の中には自宅でも気軽に取り組むことができる転売を検討している方も多いのではないでしょうか。

転売は今では在庫を抱えずに行うこともできるため、サラリーマンのサイドビジネスとしては最適でもあります。

 

しかし、転売を行う上で注意しておきたいポイントもいくつかあります。

そのうちの一つが「古物商許可証」です。

今回は転売で中古品を取り扱う場合に意識しておきたい「古物商許可証」の基本情報を徹底解説します。

 

古物商とは?

転売やせどりをやっているとよく耳にしたり、見かける言葉でもある古物商。

古物商とは古物営業法に規定される古物(中古品)を取扱い、売買する法人や個人の業者のことを指します。

 

そして古物商が行う事業のことを古物営業といいます。

ちなみに中古品の売買だけではなく、レンタルやリースをする場合であっても古物商に該当します。

私たちの身の回りで古物営業の代表的な存在というと「リサイクルショップ」や「古着屋」がありますよね。

 

リサイクルショップも古着屋も一度人の手に渡った中古品を買い取り、手入れをして再販売をしています。

そしてこの古物営業を営むのに必要となるのが「都道府県公安委員会(窓口は警察署)の許可」です。

 

ちなみにこの古物商の許可は新品のみを取り扱う店舗では不要です。

ではなぜ中古品を売買する法人や個人のみの業者が古物商の許可を得なければいけないのでしょうか?

これは万が一のトラブルがあった時に警察が捜査しやすいからです。

 

新品というのは基本的にメーカーや卸問屋が主な仕入れ先になります。

ところが古物(中古品)というのは仕入先が不透明なことが多いため、もしかしたら取り扱っている商品が盗品ということもあります。

 

時々、テレビでも「盗んだバイクを売った〇〇容疑者を逮捕」といったニュースが報じられています。

このように古物(中古品)というのは新品と比較すると「それって盗品じゃないよね?」という疑いがかけられやすいです。

 

そのため、古物(中古品)に関しては仮に盗難被害があった場合に速やかに調査や捜査ができるように古物を取り扱う者には古物商許可証の申請を法令で規制しているのです。

もちろん前述のリサイクルショップや古着屋も古物商の許可を取得済みです。

 

副業の転売に古物商許可証は必要なのか?

これから副業で転売を始めようと検討している人はおそらく最初はヤフオクやメルカリなどのメジャーなプラットフォームを利用すると思います。

このようなヤフオクやメルカリで転売を行う時に気になるのが「オークションやフリマアプリでも古物商の許可は取得しなければいけないの?」ということです。

 

先ほどご紹介したリサイクルショップや古着屋はリアル店舗(実店舗)があります。

しかし、副業で始めるオークションやフリマアプリでの売買はネットで完結するため、「許可証は不要なのでは?」と思っている方も意外と多いです。

この疑問に対する回答ですが、
ネット上で古物(中古品)の売買を行うケースでは「古物商の許可が不要な人」と「古物商の許可が必要な人」がいます。

 

古物商の許可が不要な人

まず、古物商の許可は不要という人を解説します。

古物商の許可を得ずにネット上で古物(中古品)の売買を行うことができるのは「個人的に使用するために購入した商品を売りたい」という方です。

 

具体的には「個人で楽しむために購入したゲーム」「写真が趣味で自身で使うために購入したカメラ」などが該当しますね。

このような個人的に使うために購入した商品を出品する際には古物商許可証は不要とされています。

ちなみに以下に該当する場合も基本的には古物商の許可を取得する必要はありません。

  • 自分が商品を売却した相手方からその商品を買い戻す場合
  • 無償でもらったものを売却する場合
  • 自分が海外で購入したものを売る場合(一部商品は古物商の許可が必要)

 

古物商の許可が必要な人

古物商の許可が必要な人とは一言で説明するならば「販売目的で商品を出品する人」です。

つまり「このカメラを売って利益を得よう」という目的で商品を購入し、出品するのであれば古物商の許可申請をしなければいけないということですね。

 

このように説明すると「じゃあ利益を得る目的で出品する人すべてが古物商の許可を申請する必要があるの?」という疑問が出てきます。これに関しては必ずしもそうではありません。

 

古物売買の業務に規制を課し、盗品の売買等を防止することなどを目的として制定された法律「古物営業法」によると古物許可証が必要なケースは「営業性があるか否か」です。古物営業法 第2条第2項第1号によれば「古物営業」とは以下のことを指します。

 

古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

 

以上が古物営業法が定める古物営業の定義です。

また、この古物営業に該当する場合は許可が必要なことも明記されています。

 

前条第2項第1号に掲げる営業を営もうとする者は、営業所(営業所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ)が所在する都道府県ごとに都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

 

【参考サイト】

古物営業法 第3条

 

以上が法律的観点から見た古物営業の定義と許可証が必要なケースです。

この法律のポイントは先ほども述べたように、
「営業として古物(中古品)の売買を行うのであれば、許可を得ましょう」ということです。

 

一般的に営業とは利益を得る目的で同じ行為を反復的、継続的に行うことを指します。

また仮に商品が売れずに利益を得られなかったとしても、利益目的で出品をしているのであれば、それは営業に該当します。

ヤフオクへの出品で例えるのであれば「1個売れたから、次を仕入れなきゃ」という行為は営業とみなされる可能性が高いでしょう。

 

無許可営業だとどうなるの?

転売を行う方の中には営業性があるにも関わらず、古物商の許可を取得していないと思われる方も多数います。

このような場合は「無許可営業」に該当する可能性が高いです。

では仮に無許可で転売を行った場合にはどのような罰則があるのでしょうか?

この疑問に対する答えも、先ほど取り上げた古物営業法にしっかりと明記されているのでご紹介しましょう。

 

第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

一 第3条の規定に反して許可を受けないで第2条第2項第1号又は第2号に掲げる営業を営んだ者

 

【参考サイト】

古物営業法「第6章 罰則」          

 

以上が無許可営業を行った場合に課される罰則となります。

「第3条の規定に反して許可を受けないで第2条第2項第1号又は第2号に掲げる営業を営んだ者」つまり、「古物(中古品)の売買を継続的、反復的に行っている」にも関わらず、許可を得ていない者には3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課される可能性があるということです。

 

転売はしっかりと行っていればまったく違法性がないビジネスですが、古物商の許可が必要だということを知らないと、自身が大きな損をすることにもなります。

そのため、この古物商の罰則に関してはしっかりと頭に入れておきましょう。

 

古物許可証を取得できない人

転売を本格的に行うのであれば古物商の許可は取得しておいたほうが無難ということはわかりました。

しかし、この古物商許可証ですが残念ながら誰でも取得できるというわけではありません。

古物営業法では以下に該当する方の古物商許可証取得は認めていません。

 

成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

「成年被後見人」「被保佐人」とは重度又は中度の精神上の障害があるためにそれぞれ被後見人、被保佐人を付けられた者のことです。

このような方たちは精神上の障害により、判断能力が劣る部分があるため、許可を得ることができません。

 

また「破産者で復権を得ないもの」とは簡単に説明すると破産手続きをした人のことを指します。

破産手続きをすると裁判所に免責の申立てを行いますが、この免責が認められる(借金が帳消しになること)ことを復権といいます。

この復権期間中および破産宣告後10年間は古物商許可証を取得することができません。

 

禁固以上の刑や規定された犯罪で罰金の刑に処せられてから5年を経過しないもの

懲役などの刑罰を受けた者は刑の執行が終了してから5年間は古物商許可を取得することができません。

また「規定された犯罪」とは古物営業法で指定された犯罪のことを指し、主に以下のようなものが該当します。

 

  • 無許可営業
  • 公安委員会の営業停止命令の無視
  • 遺失物横領等
  • 盗品譲受け等

住居の定まらないもの

住所の定まらないものとは住民票に記載されている住所に住んでいない者のことを指します。

よくあるうっかりミスに引越しをしたにも関わらず、住民票の移動をしていないことなどがあります。

 

古物商の許可は前述のように「盗品の売買防止」が目的ですから、住所が不明な者には許可は出せません。

ただし中には例外もあり、住民票に記載されている住所に住んでいなくても、その理由に正当性があれば認められることもあります。

 

古物商許可を取り消されてから5年を経過しないもの

古物商許可証を取得しても、古物営業法に違反すると許可を取り消されてしまうことがあります。

この場合も許可を取り消されてから5年を経過しないと再度の許可申請は認められません。

 

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者

未成年者は社会人歴がバリバリの成人と比較すると取引をする際の能力がまだ未熟です。そのため、基本的には古物商許可の取得は難しいです。

ただし未成年者の方でも結婚をされた方や古物商の相続人である未成年者で法定代理人が欠格事由に該当していない場合は申請が可能となっています。

 

まとめ

今回は「転売を始めるにあたり、古物商許可証は必要なの?」という疑問に迫ってみましたがいかがでしたでしょうか?

結論から言うと、
本格的に古物(中古品)を取り扱って、転売を行うのであれば古物商許可証は取得しておいたほうが無難です。

 

仮に転売で大きな金額を稼げても無許可営業だと懲役や罰金に処される可能性もあります。

こうなると今までの苦労や努力がすべて水の泡となってしまいます。

そのため、ヤフオクやメルカリで試験的に販売を行い、「売れるからもっと商品数を増やそう」という場合は古物商許可証の取得も同時に検討しましょう。

安心、安全な転売を行うことも月収の拡大には大切なことです。

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