サラリーマンの副業として、「社労士」をオススメしている副業指南サイトが増えてきています。
「社労士の資格を取れば定年退職後も安泰」「会社を辞めずに難関資格に挑戦」など、様々な理由で社労士がオススメされていますが、本当に社労士はサラリーマンの副業として成り立つのでしょうか。
そもそも社労士は「士業」ですから、転売やウェブライターとは異なりハードルがとても高そうに思えます。
それでもなぜ今、社労士がオススメされるのでしょうか。その理由を解説します。
社労士って何をする仕事?
社労士とは「社会保険労務士」の略で、社会保険や労働法についての問題や相談ごとの解決、必要書類の作成代行などを行う人のことをさします。
特に書類作成や提出の代行は「独占業務」と呼ばれ、社労士のみに許されている業務です。合格率は9%前後と低いですが、士業の中では比較的易しめということもあり、とても人気の高い資格です。
会社でやってきたことを資格に生かせる点も、人気の理由の一つです。サラリーマンとして役に立つ労働基準法や、年金、社会保険の知識が深まるため、資格目的でなくても勉強する人もたくさんいます。
社労士はサラリーマンの副業として成り立つのか?
社労士は、サラリーマンの副業として成立させることは可能です。ただし簡単ではありません。
まず絶対条件として、社労士の資格が必要になります。いくら会社で培った知識が活かせるとはいえ、それだけでは不十分ですから、資格取得のためにはしっかり勉強しなくてはいけません。
合格率も毎年9%と低いため、最悪の場合、資格取得までに何年もかかってしまうこともあり得るのです。
また、社労士として働くためには試験に合格するだけでなく、地域の「社労士会」に登録しなくてはならず、条件として「2年以上の実務経験」か「事務指定講習を受講し修了証書を貰う」のどちらかが必要になります。
資格だけ持っていても、社労士と名乗ることはできず、仕事を始めることができないのです。
会社で人事や総務といった部署で働いていたら、社労士に必要となる実務経験は有ると言うことができますが、全く経験のない人は社労士会が主催する「事務指定講習」を受け、修了しなくてはなりません。講習代は7万円と高額です。
このように、実務デビューまでには乗り越えるべきハードルがいくつか存在します。
とはいえ一生ものの資格ですから、1度取得しておけばいつでも副業を行うことができ、もしものときも安泰です。
副業のアルバイト社労士の報酬
副業で社労士を行うとき、1日の報酬はどれくらいになるのでしょうか。
社労士の仕事は様々ありますが、どの仕事も日当で2万円程度(交通費込み)が相場となっています。
新米でもベテランでも金額が変わることがないため、最初からしっかり稼ぐことができます。積極的に仕事をたくさん請け負えば、それだけ稼ぐことができるのです。
新米の社労士が稼ぎやすいアルバイトとしては、社労士会や行政が主催する無料相談会があります。
これは、一般の人が社会保険や労働法、年金など社労士が解決できる問題について何でも無料で相談できるという会で、頻繁に行われています。
ベテランだけでなく新米社労士にも平等にチャンスが設けられているので、副業にはもちろん、顧客の新規開拓にも役立てることができます。
ちなみに副業で社労士を行う場合は、原則「開業社労士」となり、個人事業主となるため、年収によって確定申告が必要になります。
副業の年収が20万円を超える場合は、副業が会社にバレない確定申告のやり方を確認しておきましょう。
副業として社労士事務所を開業するのは難しい
社労士のアルバイトは副業として「アリ」ですが、社労士事務所を開業してまでとなると、運営していくのはとても難しいです。
社労士としてやっていくためには、自分で顧客を開拓するために「営業」が必要になります。社労士会からあっせんされる顧客やツテを頼りに営業していかなくてはいけないのですが、これが非常に大変です。
一度でも営業経験がある人なら、その難しさが理解できると思います。本業の社労士ですら朝から晩まで試行錯誤し続けているのですから、時間が捻出し辛い副業では、事務所の運営は事実上不可能と言えるでしょう。
副業で社労士をやっていきたいなら、事務所は作らず、社労士会から紹介されるアルバイトをこなしていくのが無難です。
行政の現場にも社労士のアルバイトがある
社労士のアルバイトは一般企業だけでなく、行政の現場にも存在します。
代表的なアルバイトとしては全国のハローワークで行われる就職指導で、履歴書の書き方や面接指導を担当します。
本来はハローワークの職員が行う指導ですが、人手が足りないときなどに、ハローワークが社労士会を通さずに直接募集しています。時給は1,000円前後で、そのときの予算によって変わってくるそうです。
この他にも、労働基準監督署・協会けんぽ・国民保険国民年金課・福祉課や福祉事務所等、様々な行政の現場で社労士は優遇されており、社労士の資格があるだけで嘱託職員として働くこともできます。
まとめ
社労士は、社会保険や労働法、年金のプロフェッショナルであり、これらに関する書類作成や提出の代行が行うことができる唯一の資格です。会社で働く上で必要なことなので、副業にせずとも勉強する人もたくさんいます。
しかしそれだけに、社労士になるにはとても高いハードルがあります。そもそも合格率が9%前後と低く、また資格が取れても実務経験や講習を受けなければ仕事を始めることができません。
しかし一度合格すれば、社労士が必要とされる仕事は多数あるため、副業としてやっていく分には困ることは無いでしょう。
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