転売を始める時に「あの人気アーティストのライブチケットを転売したら稼げるんじゃないか?」と考える方は一定数いるでしょう。しかし、そのような考えを持っている方はちょっと待ってください。近年チケットの高額転売はリアル世界、ネット世界でも大きく問題視され違法とされてきています。
したがってチケットの転売を行っても損をするのは自分自身ですし、周囲から喜ばれることも少ないです。では数ある転売の中でもなぜチケットの転売のみが問題視されるのでしょうか?今回はチケット転売の問題や現状について徹底解説します。
この記事の目次
チケットキャンプ閉鎖で再び注目を集めるチケット転売問題
2017年12月にフンザ(ミクシィの子会社)が運営するチケット転売サイト「チケットキャンプ」が閉鎖されることが決定しました(2018年5月31日で終了)。チケットキャンプといえばライブやコンサート好きの方であれば一度は利用経験があるといわれるほどの超人気サイトです。
そのため、今回の閉鎖発表に関しては非常に多くの人に注目されています。チケットキャンプの閉鎖理由に関しては「商標法違反」「不正競争防止法違反」となっています。チケットキャンプは「ジャニーズ応援キャンペーン」などと銘打って「Jジャニーズ通信 Johnny’s News Service」などのメディアサイトを展開していましたが、すでに商標登録されているグループ名を使用したことが問題視されたようです。
また一部の報道によるとチケットキャンプ側が大口の転売業者の出品手数料をゼロにするなど転売業者を優遇していたことも明らかになっています(通常出品者は購入額の8.64%の手数料を支払わなければならない)。
チケットキャンプの利用規約では「転売する目的で得たチケットを出品してはならない」と定められています。つまり今回明らかになった大口の転売業者優遇は「転売目的のチケット売却は禁止」と謳っている運営側自身が規約を破っていたということになります。
この件に関して捜査関係者は「大口の転売業者が他社のサイトに流れないようにする狙いがあった」としています。このように今回のチケットキャンプ閉鎖により、以前から問題視されてきたチケットの転売問題がここにきて再び大きく取り上げられています。ちなみにこの件によりフンザの経営トップとなる笹森良代表取締役は経営責任を明確にするため、2017年12月27日付で辞任することを発表しました。
チケット転売は儲かるの?
チケット転売はそんなに利益の出る儲かる稼ぎ方なのか?というと、実はこれが結構儲かってしまうのです。
人気アーティストなどのコンサート会場に行くと、入口付近でチケットを持った人間たちが「チケット余ってるよ」「不要なチケットがあったら買うよ」といった声をかけてくることがあります。
これが俗に言われる「ダフ屋」と呼ばれる人間たちです。ダフ屋の「ダフ」という言葉はもともと「チケット」を示す「札(フダ)」を逆さまにした隠語です。このダフ屋は定価のチケットを転売目的で購入し、定価以上の価格で高く売ることで利益を得ています。
ダフ屋の中には専業でやっている者も非常に多いです。つまり生活するだけの金額は稼げてしまうということですね。
ネットを使っていない会場前のダフ屋でも生活できるくらいなので、ネットを駆使したチケット転売は普通に生活する以上の大きなお金を稼ぐことができた手法だったりします。
チケット転売は犯罪なのか?罰則はある?
前述のようにチケットの転売は非常に問題視されやすいです。ではなぜチケットのみが転売してはいけないという空気が流れているのでしょうか?そもそも犯罪に該当するような違法行為なのでしょうか?この疑問に関しては非常に単純であり、「チケットの転売は条例によって違法とされている」からです。
条例は「迷惑防止条例」や「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」などの名称で定められており、一般住民の生活の平穏を保つことを目的にしています。
そしてこの条例は国がルールを定めることができる法律と異なり、地方自治体が法令に反しない範囲でルールを定めることができます。したがってチケットの転売に関しても全国47都道府県すべてで禁止されているわけではありません。
しかし、近年はチケットの高額転売が非常に問題視されていることもあり、現在では40を超える都道府県でチケットの転売が違法とされています。もちろんチケットの転売すべてが違法になるわけではありません。
詳細は後述しますが「問題になるチケット転売」を行った場合のみ違法となり罰則が科せられることになります。ちなみに問題のあるチケット転売を行い、その後迷惑防止条例違反の疑いをかけられた場合以下のような罰則が与えられます。
東京都 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
千葉県 | 6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金 |
神奈川県 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
大阪府 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
ご覧のように罰則は各都道府県によって異なりますが、概ね6ヶ月以下の懲役または20万円~50万円以下の罰金とされています。
チケット転売で違法になるケースを解説
前述のように「問題のあるチケット転売」を行った場合は厳しい罰則が科されることになります。しかし具体的に「問題のあるチケット転売」とはどのようなものなのでしょうか?ここではチケット転売において違法になるケースを取り上げます。
どのような行為が禁止されているかは以下のとおりとなります。
- 転売目的でチケット類を公衆に対して発売する場所において購入すること
- 公衆の場においてチケット類を他者に転売すること
公衆の場におけるチケット類の販売というのはまさに「ダフ屋」のことですね。ダフ屋を直接的に取り締まる法律はありませんが、多くの都道府県では迷惑防止条例として禁止しています。
ご覧のようにコンサート会場やライブ会場などの公共の場においての営利目的の転売は固く禁止されています。また注目すべき点としては「転売目的でのチケット購入」も禁止されていることです。
つまり実際にチケットを転売していなくても、営利目的で購入したとみなされると迷惑防止条例違反の疑いにかけられる可能性があるということになります。「公共の場での営利目的のチケット転売および購入」は一発アウトになる可能性が高いので注意しておきましょう。
「公共の場」以外のメルカリなどでのチケット転売はOKなのか?
公共の場においての営利目的のチケット転売が禁止されていることはわかりました。では公共の場以外、具体的にはインターネット上のオークションサイトやメルカリなどのフリマアプリなどでのチケット転売に関してはどうでしょうか?
実はこのアプリやネット上での転売もあまり目立つ行為を行うと罰せられる可能性があります。実際にあった事例としては2017年に人気ロックバンド「サカナクション」のコンサートの電子チケットを転売目的で購入した男性が兵庫県警サイバー犯罪対策課に逮捕されています。
逮捕容疑は「詐欺罪」であり、この男性はチケット転売をたびたび行い、2年間で約6,000万円を売り上げていたといいます。ちなみにこの電子チケットの転売による逮捕は全国では初めての事例ということです。
このように公共の場以外のチケット転売でも迷惑防止条例違反となる可能性があります。したがってチケット類に関しては公共の場、ネット上問わず「営利目的」「転売目的」で購入するのは危険ともいえるでしょう。
チケットを「営利目的」「転売目的」で購入したか否かは客観的に判断されるため「転売目的で購入してはいません」と主張しても通用しない可能性もあります(例:1人で一度に20枚、30枚のチケットを大量購入するなど)。
政府も法規制・対策を検討するインターネット上のダフ屋問題
全国初の転売目的での電子チケット購入による逮捕劇でインターネット上での高額チケット転売問題も大きく注目されつつあります。そしてこのチケット転売問題もようやく政府が法規制を検討し始めました。
2017年12月に自民党のライブ・エンタテイメント議員連盟(石破茂会長)はコンサートチケットなどの高額転売を禁じる新法案の骨子をまとめたことが報じられています。これは現在では取り締まりが難しいインターネット上のダフ屋行為を規制する目的がメインということです。
日本では2020年に東京五輪が開催されるため、その入場チケットへの適用も見据えてのことだと思われます。この動きにより今後はさらにインターネット上のダフ屋行為の取り締まりが強化される可能性があります。したがってこれから副業で転売を始める方はチケット類だけには手を出さないほうが無難といえるでしょう。
まとめ
今回は転売において何かと問題視されるチケット類の転売に関する情報を解説しましたがいかがでしたでしょうか?チケットの転売は古くから問題視されてきましたが、近年は公共の場、インターネット上問わず取り締まりが強化されつつあります。
したがって現在転売で「何を売ろうか?」と検討している段階の方はチケット類以外のものを取り扱うようにしましょう。一時的にチケットの転売で稼げても長く続けることができる可能性は限りなく低いです。安心、安全の転売で副収入を稼ぐという意識を常に持っておくことが大切です。ぜひ参考にしてください。
チケット転売よりも息が長く安定して稼ぐ方法について
チケット転売は残念ながら違法性のある稼ぎ方として法的に規制が入り、今まで通りに稼ぎ続けることはできなくなってしまいました。でも同じ転売であってもチケット転売よりも安定的に長く稼ぎ続けることが出来る手法はあります。
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